口いっぱいにほおばって、それほど噛まずに飲み込む。
それが、子どもの頃からのわたしの食べ方でした。
口いっぱいに広がる味を感じるのが好きで。
当然、満腹信号が来る頃にはもう食べ終わっているわけで、
毎回お腹いっぱい、腹十分目でした。
でも、その「満腹」って、
実はそんなに気持ちよくないことにも気づいていました。
美味しく食べていたはずなのに、
食べ終わったあと、なんとなくモヤっとする。
満たされてるはずなのに、どこか落ち着かない。
なんでだろう・・と思っていた時に、
たまたま読んだ本に、
「食べる量が運気に影響する」という考え方が書かれていました。
細かいルールを守れるタイプではないけど、
この感覚は妙に腑に落ちたので、
腹八分目を意識してみることにしました。
でも、これが思った以上に難しい・・。
腹八分目って、ゆっくり食べないと分からないんですよね。
満腹信号って、食べ終わってから来るから。
だから、とりあえず「一口を小さく、一口につき20回噛む」
これを目標にしてみました。
……のだけど。
これが、なかなかの苦行で、
大口でパクパク食べてきた人間にとって、
小口で食べるって、なかなかしんどい。
なにしろじれったい。
ランチの時間なんて顕著で、
「洗濯物干さなきゃ」
「子ども帰ってくる前に自分の時間欲しい」
「夜ご飯どうしよう」
頭の中は常に忙しく、
一口は小さくなったのに、
“高速噛み噛み”になってることもしょっちゅうでした。
意味ないし・・🤣
でも、ある時ふと気がつきました。
ゆっくり食べられない時、
わたしは今この瞬間にいないってことに。
味はわかる。
でも、味わってはいない。
「美味しい」と思いながら、
「早く食べ終わりたい」とも思っている。
そんな時、わたしの意識はもう未来をさまよっている。
これって、本当の意味で生きていないような・・?
日本酒に合う小皿料理を作るようになったのもこの頃です。
まあ、もう小口で食べるとかイライラするのでやめて、作戦変更です。
きんぴらごぼう、鯖の味噌煮、揚げ出し豆腐、サラダ、漬物。
5皿くらい並べて、暮れていく夕日を眺めながら、一合の日本酒をゆっくり飲む。
ストレスないレベルで、なるべくよく噛んで食べる。
自分なりに丁寧に作って、いろいろな味を楽しむと、
それだけで、「今日もちゃんと生きたな」って思えました。
もちろん毎日なんてできないけど、
でも「丁寧に作れない日」「ゆっくり味わえない日」は
頭が忙しい日だと分かりました。
そういう日は決まって、「今」にいない。
耳をすませば、
ずっと自分の身体にこう命じている頭の声が聞こえてきます、
「急げ」って。

